今日は堺にあるピアノ工房にて、大阪芸術大学の調律演習学外授業のピアノ奏者としてお声掛け頂き参加致しました。
この工房にはピアノの発明者であるクリストーフォリの再現モデルのピアノから、バッハが生きた時代のクラヴィコード、ジルバーマン、モーツァルト時代のシュタイン、ベートーヴェン時代のヴァルター、エラール、そしてショパンが愛用したプレイエル、その後のベーゼンドルファーからスタインウェイと、現代に繋がるピアノの歴史が詰まった名器が全て揃っていました。
前々から作曲家が生きた当時の楽器の響きには随分興味があり、本や文献で調べてCDも聴いたりしていましたが、今回初めて全時代のピアノを弾かせて頂く機会を与えて下さり、百聞は一見にしかずということを身を以て体験する一日となりました。
沢山の驚きと発見の連続でしたが、中でもモーツァルト、ベートーヴェン時代のシュタインやエラールは鍵盤が想像以上に軽く(現代のピアノの半分以下!!)、鍵盤がとても浅いため、まさにモーツァルトのソナタによく出てくるあの転がるような16分音符の連続はこの楽器から生まれたということに納得がいきました。
これまでは想像の範囲でしか語れなかった作曲家が生きた時代のピアノ… 今は確信をもって各作曲家に求められる音のニュアンスとカラーをこれからの自身の演奏やレッスンのアドバイスにも取り入れられそうな気がします(^^)
上の写真はクラヴィコードで鍵の後端にタンジェントと呼ばれるものが付いていて、鍵盤を押すとその金属片が弦をたたいて音を出すしくみだそうです。鍵盤楽器としては珍しく指の振動でヴィブラートをかけることもでき、現代のピアノでは乾いた音になりやすいバッハもとても艶のある表現をすることができます。
下の写真はプレイエル。音の余韻、音色の多彩さが凄かったです。ショパンは体調のすぐれない時はエラールのピアノを弾き、元気な時はプレイエルをよく弾いていたと言われるように、たしかにエラールは何の努力もなく楽々と良い音が出るのに比べて、プレイエルの扱いはエラールに比べコントロールに少し工夫が必要でした。